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春夏秋冬、風に吹かれて無常の世を漂い、旅するさすらいの日々

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復興庁は復興事業の全額国費を一部被災地負担へ 岩手、宮城、福島に8兆円以上が必要 復興再生はどうなる

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<復興事業>全額国費を転換 一部被災地負担
  
 復興庁は12日、東日本大震災の集中復興期間後の2016~20年度に実施する復興事業の基本方針を発表した。集中復興期間は延長せず、復興特別会計による全額国費負担を改め、一部は被災地自治体に負担を求める。政府は6月末にも財源を含めた復興予算の枠組みを決める。

 

 政府関係者によると、16年度から5年間の復興費用は5兆8千億円程度と算定。このうち2兆円程度の事業について数%台の地元負担を求める考えで、負担額は数百億円規模とされる。


 岩手、宮城、福島の3県は同期間の復興事業に8兆円以上が必要と試算しており、負担割合などの協議は難航も予想される。


 基本方針では、復興特別会計事業のうち、集落の高台移転や除染などの基幹事業は全額国費負担が継続された。一方で、基幹事業の効果を促進するための地域振興や、被災部分の再建に付随して新たに整備・拡充するインフラの一部に関する事業は、地元負担の対象となった。


 観光拠点整備や震災遺構の保存、農水産品の新商品開発などのほか、政府が復興道路と位置付けた三陸沿岸道路(仙台-八戸市)も負担対象に該当する。


 雇用支援事業などは既存の施策で実施されているとして、復興特別会計から切り離され一般会計に組み込まれるため、自治体負担が生じる。
 政府が復興の理想像として掲げた「新しい東北」先導モデル事業は、必要性が低くなったことを理由に廃止される。


 これまでの集中復興期間に代わり、16年以降の5年間を「復興・創生期間」と位置付けることも決めた。

 

<復興支援案のポイント>
◇2016年度以降は復興予算の一部を被災自治体が負担
◇高台移転や住宅再建などの「基幹的事業」は国が全額負担を継続
◇東京電力福島第1原発事故に関連する除染や中間貯蔵施設整備などの事業も国が全額負担
◇被災自治体の負担割合はほかの自治体が行う同様の事業に比べ大幅に軽減
◇地元負担に際し財政力の弱い自治体に配慮
◇6月末に正式決定

■竹下復興相は12日午前の閣議後の記者会見で、東日本大震災に関する2016年度以降の復興事業についての新たな政府方針を発表した。

 
 16~20年度を「復興・創生期間」と位置づけ、事業を重点化したうえで、一部事業では被災した自治体にも負担を求めることが柱だ。東京電力福島第一原発周辺の12市町村には、全額国費負担を継続する。

 復興事業については、15年度までは「集中復興期間」とし、全額国費で負担してきた。新しい政府方針では、「被災地の復興のために真に必要な事業に重点化する」と明記し、復興事業の選別化を進める。

 そのうえで、〈1〉原発事故に伴う除染や風評被害対策などの事業〈2〉高台移転事業や災害公営住宅の建設、被災者の心のケアなど緊急性が高い「基幹的事業」――については、引き続き全額国費負担とする。一方、「地域振興策や将来の災害への備えといった全国共通の課題」に対処する事業については、被災自治体にも一部の負担を求めることにする。

<復興予算>東日本大震災からの復興を進めるため、政府が復興特別会計として一般会計とは別に管理している予算。2011年度から15年度までの5年間に総額約26兆3000億円を確保しており、被災地での住宅建設や道路、港湾などのインフラ整備に幅広く活用されている。
 財源は、所得税などの復興増税や日本郵政株の売却収入など。現在の枠組みは、集中復興期間が終わる15年度までで、16年度以降の復興財源の確保が大きな焦点となっている。政府は歳出抑制などの観点から被災自治体に事業費の一部負担を求めているが、被災自治体は「復興に支障が出る」と反発している。

■安倍晋三首相は東日本大震災4年を前にした10日、2016〜20年度の5年間の復興支援の枠組みを夏までに策定するよう関係省庁に指示した。財源捻出に悩む政府内では「被災地の自立」を求める声が上がり、国費で全額負担してきた事業の一部負担を被災地に求めることも視野に入れる。

だが自治体は「必要な事業が切られかねない」と警戒。15年度に終了する集中復興期間後の復興を巡る政府と自治体の協議は難航が避けられない状況だ。

 ◇背景に財源不足

 「地方負担の在り方も含めて被災地の声に耳を傾けつつ検討する。被災地の自立を応援し、できる限り支援する」。首相は10日の記者会見でこう語り、16年度以降の事業費の一部自治体負担に含みを残した。震災から10年の復興期間のうち、集中復興期間は15年度で終了。8月の16年度概算要求までには、その後5年の枠組みを示す必要があり、竹下亘復興相は同日の会見で「早ければ6月にもまとめる」と説明した。

 

 竹下氏は今月初旬の報道各社のインタビューで、16年度以降の復興事業費を自治体に一部負担させる案を表明。6日には「復興の目的は(住民に)一人一人、自立していただくことだ。全額国費はモラルハザードの原因だ」と踏み込んだ。

 

 政府・与党内では、かねて国費負担の限界が指摘されていた。15年度までの復興予算は総額26・3兆円で、政府が想定した25兆円を超過。16年度以降の財源捻出は難航するとみられる。首相は4日、竹下氏に「財源がなかなかないな」とこぼし、竹下氏は「財務省とぎりぎりの交渉をします」と応じるにとどめた。

 

 政府・与党内では、13年に福島の「全員帰還」を事実上断念し、移住支援を盛り込んだ「福島復興加速化指針」が記憶に新しい。自民党の大島理森・震災復興加速化本部長が中心にまとめた与党提言を、政府が丸のみ。与党が政府に代わって泥をかぶった。与党は今年5月にも第5次提言をまとめ、政府を側面支援する構えだ。

 

 だが自治体負担に対しては、国費の維持・充実を求める被災3県の小規模自治体などから強い反発が予想される。このため竹下氏は周辺に「私も悪役になる。大島さんからこぼれたものを拾う」と話す一方、「首相を悪役にはできない」と悩みを口にした。与党には、4月の統一地方選に影響が出るとの懸念もある。

 

 復興庁は過去の事業を検証し、今後国費で負担すべき事業を線引きする作業を開始。▽高台移転や復興住宅・堤防の建設などの基幹事業▽原発事故収束の事業▽風評被害対策−−などは国費負担を念頭に置くが、他の事業で過度の支出は被災地の「補助金漬け」を招きかねない、との指摘も根強い。政府は事業削減や自治体負担も検討する「選択と集中」により、復興を効率化したい考えだが、16年度以降も約8・1兆円分を要望している被災3県との綱引きは一層激化しそうだ。

 

 ◇応援職員、国費頼み

 被災地の自治体は「何が国費から削られるのか」と疑心暗鬼にかられている。懸念する「負担増」の一つが、全国から派遣されている応援職員の給与だ。東日本大震災では特例として震災復興特別交付税で国が全額負担している。しかし、地方自治法は職員を受け入れる自治体が負担するのを原則にしている。被災自治体の幹部は「多くの自治体から集中復興期間以降の派遣打ち切りを言外ににおわされている」と明かす。

 

 総務省によると、被災自治体には昨年10月時点で職員計2255人が派遣されている。災害公営住宅(復興住宅)の建設など復興本体の事業が本格化する中、各自治体は技術系を中心に職員のマンパワー不足は今後も続くとみている。

 

 町の37%が浸水し、被災した集落を内陸に移して集約する「コンパクトシティー」構想を進めている宮城県山元町。町職員183人に対して、全国60自治体や民間からの応援職員が113人(9日現在)に上る。町総務課の担当者は「応援職員に引き揚げられると、行政サービスの低下は避けられない」と話す。

 

 震災復興特別交付税は昨年9月までに被災自治体に総額2・4兆円交付されたが、集中復興期間後の枠組みは決まっていない。仙台弁護士会災害復興支援特別委員会の宇都彰浩弁護士は「被災自治体の多くは震災後に税収が落ち込んでおり、特別交付税が廃止になれば応援職員の人件費を負担できるところはほとんどないだろう」と指摘する。

 

 国の復興予算を巡っては福島第1原発事故による農産物の風評被害払拭(ふっしょく)や観光振興などにも使われてきた。費用対効果を数字で表しにくい、これらソフト面の支援打ち切りを警戒する声も上がる。

 

 岩手県山田町のシイタケ農家さんの場合、原発事故で基準を超える放射性物質が検出され、出荷制限がかかった。露地栽培の生産を再開したのは昨年10月。ハウス栽培も含めて生産量は震災前の6割にとどまる。県は11〜13年度、復興予算を使って3億2700万円を風評被害対策に投入。14年度は販路拡大に8000万円をつぎ込んだ。

「まだ出荷制限中の生産者がいる。皆を励ますために打ち切らないでほしい」と話した。

 福島県財政課の担当者は「国から受け取っている復興交付金などは、数%削られただけで自治体負担は億単位になる。影響が大きい」と話した。