ある日妻が「今晩何食べたい」と聞くので「刺身、カツオのたたきが食べたいな。」
「あら、そう。じゃ買って来るから」。と言って近くのスーパーへ出かけました。
私はカツオのたたきで「冷た~い」ビールを飲むという至福の時を思い描いていました。(生唾ゴックン)
やがて夕飯時になり、妻が「御飯ですよ~」。と呼ぶ声がしたので階下に降りてみる。
「ギャ~~~~~~~~」。
なんとテーブルに用意されたのはカツオのたたきならぬ「カレーライス」ではありませんか。
私が「どうしたの?カツオのたたきじゃなかったの」。と聞くと「カレーが安かったから」の一言。
「ひぇ~」
「今日はカツオのたたきでビールを飲みたかったのに。○×△√?・・・・・」
「また今度ね」何事もなかったかの様に。
仕方なくカレーライスを食べることとなりました。翌日もカレーだったことは言うまでもありません。
喉の渇きは単なる水道水で潤すこととなりました。炭酸の「シュワーチ」は全くありません。
(カレーはまずまずの味でしたけどね)。
【私(下宿人)の独白】
何も『今晩何食べたい』と聞かなければいいのに。聞くからリクエストすることになる。
メニューが決まってなければ聞かずに、黙ってスーパーに行って適当に見繕ってテーブルに出せば済むことだろうに。
普段は何も聞かずに与えられた『エサ』を淡々と食べるのが私の日課なのです。
薄月給の身、恐れ多くて、夕飯のおかずに愚痴だとか文句は過去に一言も言ったことはありません。
従順な迷える子羊なのです。
おまけにカレーライスというのは2日目又は3日目が一番おいしいのになぁ~。
もし私が主婦だったら「一家の大黒柱様」のめったにない依頼を最優先にし、厚切りの「カツオのたたき」を夕飯に並べます。
御飯はスイッチポン!、刺身は出来合いの物。
何もしなくて楽だろうに。1分間で準備万端です。
カレーのルーや具材が安ければ買って帰り、作り置きし、翌日と翌々日に連チャンで最もおいしいカレーライスを「愛する旦那様」の為に何も言わずに夕飯に出しますね。
どうしてカツオのたたきがカレーライスに変わらなければならないのか不思議です。
この日は私が主夫を決めた記念日になりました。
題して「カツオ記念日」
最近カツオのたたきがチラシを賑わせているので思い出しました。
箸休めのお話でした。
昔から「初鰹を食べると長生きできる」とされ、大変珍重されました。江戸の初鰹は鎌倉あたりの漁場から供給されたため、松尾芭蕉(1644~1694)は「鎌倉を生きて出でけむ初鰹」と詠んでいます。
等というのもございます。