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120年ぶりの「民法6大改正点」を読み解く 国民生活はどう変わるのか?

政府は、2015年3月31日の閣議で、企業がインターネットの通信販売などで契約者に示す「約款」について契約者の利益を一方的に侵害する内容は無効とする規定を新たに設けるなどとした、民法の債権や契約の分野の改正案を決定しました。

民法の債権や契約に関する分野は、明治29年の民法制定以来大きな改正が行われておらず、「社会や経済の実態に合わなくなっている部分がありトラブルも起きている」として、5年余り前に改正に向けた議論が始まり、政府は、31日の閣議で民法の改正案を決定しました。

改正案では、今の民法には規定がないインターネットの通信販売などで企業が契約者に示す「約款」について、「説明が不十分だった」などとしてトラブルになるケースもあることから、新たに規定を設け、契約者の利益を一方的に侵害する内容は無効とするなどとしています。

また、賃貸住宅の敷金返還のルールを明記し、借り手の故意や過失でできた傷や汚れなどの分を除いて、敷金は原則として返されるとしています。さらに、消費者が買った商品に欠陥や傷が見つかった場合、売り手に対し、損害賠償や契約の取り消しのほか、商品の修理や代金の減額を求めることができるようにするとしています。

一方、金融機関などが中小企業に対して融資の際に求めてきた「個人保証」について、保証人になった人が想定外の債務を負って自己破産などに追い込まれるのを防ぐため、経営者本人などを除いて、公証人が意思を確認するよう義務づけるとしています。

このほか、改正案には、債務の支払いが遅れた場合に上乗せされる法定利率を、市場金利との隔たりを小さくするため、5%から3%に引き下げ、その後、3年ごとに利率の見直しを検討することや、業種ごとに未払い金の時効が異なっているのは不公平だとして5年に統一することなどが盛り込まれています。政府は、民法の改正案を今の国会に提出し、成立させたいとしています。
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上川法相「速やかに成立を」

上川法務大臣は閣議の後の記者会見で、「契約を中心とする債権に関する規定については、民法の制定以来およそ120年という長い時間が経過した上で、今回抜本的な見直しがなされる。国民生活や経済社会に大きく影響を与える重要な法案なので、国会において十分な審議をいただいたうえで速やかに成立させていただくよう努力して行きたい」と述べました。

民法の債権関係規定の大幅改正の目的
「国民に分かりやすい民法」を目指す。
今回の改正で検討対象とされたのは、総則と債権にある約400条で、日常生活や経済活動に関わる契約に関するものが中心である。

民法の契約に関する項目は、明治29年の民法制定以来、大きな改正が行われず、「社会や経済の実態に合っていないうえ、国民にも分かりにくい」と指摘されていた。

国民にとって身近でありながら分かりにくかった契約ルールをシンプルで明快なものにしようとしている。

契約ルールはこれまで民事訴訟判例を基にしていたが、ネット取引の拡大などで、約款をめぐるトラブルが増加している。

民法の債権関係規定の大幅改正は1896年の制定以来初めてで、約120年の時代の変化に対応するのが目的だ

 

★120年ぶりの「民法6大改正点」を読み解く。

国民生活はどう変わるのか?

民法6大改正点」総論

【1】賃貸契約の「敷金」を定義
【2】企業融資で求められる個人保証を「原則禁止」
【3】消滅時効を5年に統一
【4】法定利率を5%から3%へ引き下げた上で変動制導入
【5】認知症高齢者が交わした契約は無効
【6】購入商品に問題があった場合の責任

 

 

民法6大改正点」【1】-【6】各論
【1】賃貸契約の「敷金」を定義
敷金 返還義務が発生
日々の生活でできた畳のすれや日焼けなら、畳の張り替え代を請求されても敷金から払う必要はないと主張できそうだ。

■敷金は原則返還

 マンションなどを賃貸する場合、家賃の1~3か月分程度の敷金が必要となることが多いですが、退去時に敷金が全く返ってこなかったり、ハウスクリーニング、クロス張り替え、畳表替えなどの原状回復費用として敷金以上の金額を請求されたりするトラブルが多く発生しています。

独立行政法人国民生活センターには、敷金や原状回復に関するトラブルに関する相談が、2012年には1万4212件、13年も1万3916件寄せられているということです。

 敷金に関しては、民法には規定がなく、国土交通省が制定した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」があるものの、遵守じゅんしゅしなくとも罰則が科せられるわけではありませんでした。

 そこで、要綱仮案では、敷金を「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と明確に定義付けた上で、「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」は、「賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭債務の額を控除した残額を返還しなければならない」として、敷金の返還義務を規定しています。

 また、最高裁判所・平成17年12月16日判決が、「賃貸借契約が終了した場合には、賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ、賃貸借契約は、賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払いを内容とするものであり、賃借物件の損耗の発生は、賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。

それゆえ、建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払いを受けることにより行われている。

そうすると、建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになる」と判示しているように、判例では、通常の使用をした場合に生ずる劣化や通常損耗は原状回復義務には含まれないとされています。

【2】企業融資で求められる個人保証を「原則禁止」
連帯保証 個人は原則禁止

■保証人の保護の強化

 「事業をしている友人から頼まれて借金の保証人となったが、友人が行方不明になってしまい、とても支払うことのできない多額の債務の弁済を求められて困っています。破産するしかないでしょうか」というような場合があります。
かつて事業を営む父親の借金について、子どもやその配偶者はもちろん、親戚や友人といった人までが連帯保証をして、その事業が破綻すると、それに伴って、十数人が一度に自己破産するというような悲惨なケースもありました。

 そこで、今回の民法改正では、
当初、
<1>企業向け融資における保証人の保護、
<2>第三者による連帯保証の原則禁止という方向で議論が始められました。

しかし、第三者による連帯保証が原則禁止とされると、中小企業が金融機関から融資を受け難にくくなるのではないかという懸念も出て、要綱仮案では、企業向け融資に関しては、
<1>主たる債務者と一定の関係にある者(取締役や執行役、従業員として籍を置く配偶者等)は例外として第三者には該当せず連帯保証人になることができる、
<2>第三者が保証人となる場合には、保証契約締結前1か月以内に公正証書を作成して保証人となる意思表示を明らかにすることとされています。

 中小企業が融資を受ける際に求められる「連帯保証」。
個人が保証人になることを原則的に禁止とした。
ただし「貸し渋りを招く」などとする経済団体の意見を取り入れ、契約前に債務を履行する意思を表示した公正証書を作成すれば保証人になることができるようにした。
さらに(1)経営者(2)株主(3)事業に従事する配偶者-はこれまで通り保証人になれる例外も認めた。

 


【3】消滅時効を5年に統一
消滅時効 条件付け「5年」

■短期消滅時効の廃止

  消滅時効とは、一定期間の経過によって、債権等の財産権が消滅する制度のことで、例えば知人にお金を貸した場合、返済を約束した時から10年間が経過すると、お金を返してくれとは言えなくなってしまいます。これは、民法で、お金を貸した場合などのような、一般的な債権の消滅時効期間が、「権利行使できる時から10年間」と決められているためです。

 しかし、現行の民法では、上記以外に、職業別に「短期消滅時効」というものが定められています。例えば、飲食店の料金の時効は1年間、小売業の商品代金の時効は2年間、弁護士報酬の時効は2年間、医師の診察料の時効は3年間などと規定されているのです。

つまり、行きつけの小料理屋で、ツケで飲んだ場合、飲食店の料金の時効は1年間ですから、1年間経過すれば、お店からツケを支払ってほしいと言われても、時効を理由として払わなくてもよいことになるのです。

 ちなみに、民法第174条は「次に掲げる債権は、1年間行使しないときは、消滅する」として、4号に「旅館、料理店、飲食店、貸席又または娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権」と定めていますので、上記のような飲食店に限らず、旅館、映画館などの料金も広く含まれています。
また、5号には、「動産の損料に係る債権」とあり、レンタルビデオやレンタルCDの貸出料、貸本や貸衣装の料金も同様に1年の消滅時効にかかります。

 ただ、同じようにお金を払ってくれと求める権利なのに、なぜ、相手の職業や業種などによって、時効期間が異なるのかの根拠は不明です(フランス民法に由来すると言われています)。

民法制定当時は何らかの合理性があったのかもしれませんが、現代社会で、相手の職業などにより、これほどまでに時効期間が異なる理由を説明することはもはや困難です。
例えば、弁護士報酬は2年間で時効になるのに対し、同じ「士業」といわれる税理士や司法書士等の報酬の時効期間は、民法に規定されていないことから、一般的な債権と同様10年間とされているなど、具体的に不合理な点も指摘されています。

そこで、今回の改正では、職業別の短期消滅時効が廃止され、消滅時効期間は、「権利行使できる時から10年」という従来の一般原則に加えて、「権利行使できると知った時から5年」の時効期間が追加されたわけです。

 改正後は、小料理屋においてツケで飲んだ場合、原則として1年ではなく5年経過しないと消滅時効にかからないことになってしまうわけです。これをもって、世間では民法改正によって「飲み屋のツケから逃げられない」と言っているわけです。


【4】法定利率を5%から3%へ引き下げた上で変動制導入
法定利率 5%から3%へ

 また、低金利時代に対応し、借入金や損害賠償金に適用される法定利率を現行の年5%から3%へと引き下げる。これに加え、3年ごとに市場金利に応じて1%きざみで改定できる変動制を導入。シンプルさと合理性のバランスを取った。


■法定利率の引き下げ
 法定利率とは、「金銭消費貸借契約」(お金の貸し借りのことです)で金利を定めない場合や支払いが遅れた場合に支払う遅延損害金などに適用される金利のことであり、民法では年5%の固定性とされています。この数字は、民法制定当時の欧州諸国の法定利率や平均的な貸出金利などを参考に定められたと言われています。

 要綱仮案では、法定利率を3%に引き下げ、その後3年ごとに1%刻みで見直す変動制に改正するとされています。現行の5%という利率は1896年の民法制定以来変更されていませんが、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは0.275%(2015年1月10日引値)、国内銀行の新規平均貸出約定総合金利も0.932%(14年11月分:日本銀行金融機構局発表)まで低下している現状の市場環境とは、大幅にかい離していると従来から指摘されてきました。

銀行の大口定期預金の金利が0.1%に届かない時代であり、今時、年5%の利回りの金融商品など探すのが大変ですが、お金を貸したのに返してくれなかったような場合、返済がなされるまでの間、相手に対して年5%分もの利息を請求できることになるわけです。
 

【5】認知症高齢者が交わした契約は無効
 意思能力のない者がした契約が無効であるというルールは、民法の条文には明記されていないものの、近代法の大原則として当然に認められています。

意思能力とは、法律用語辞典などをみると、「法律関係を発生させる意思を形成し、それを行為の形で外部に発表して結果を判断、予測できる知的能力。一般には、幼児、重度の知的障害者、泥酔者などは意思能力がないとされている」などと書かれています。

 重篤な認知症高齢者も、ここに含まれることになりますが、超高齢社会(65歳以上の高齢者が人口に占める割合が21%を超えた社会)を迎えて、上記意思能力に関するルールが重要となる中で、民法に明文規定がないのはおかしいということで、契約の当事者が意思能力を有しなかったときは、その契約は無効とする旨の規定を新設することになりました。

つまり、従来と何も変わらないのですが、国民一般に分かり易やすい民法という観点から、当然の原則を明文化したということです。

 

【6】購入商品に問題があった場合の責任
 インターネットを通じて購入した商品が故障していた場合、民法では、売買契約を解除する、損害賠償を請求するという2つの方法が規定されています。

要綱仮案では、この2つの方法に加え、「目的物の修補」の請求、「代替物の引き渡し」の請求、「代金の減額」の請求が規定されています。

ネット市場での売買が一般化し、商品の現物を見ないで購入するケースが増えていることに対する措置と考えられています。

 なお、要綱仮案では、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」としています。

民法で使用されている「瑕疵かし」(民法570条等)という難解な文言を使用せず、「契約の内容に適合しないもの」として、上記同様に、国民一般に分かりやすい民法を目指すという、本改正の趣旨を反映したものとなっています。

 要綱仮案における改正点は約200点あり、まだ他にも改正点は多数あります。興味のある方は、法務省のHP(ホームページ)に掲載されている「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」をご覧になって頂ければ幸いです。

 

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