厚生労働省は2016年11月25日、インフルエンザの今シーズンの全国的な流行が始まったと発表した。
1999年の調査開始以来、2009年に次ぐ2番目に早い流行入り。今後も患者が増えると予測され、厚労省は流行拡大の防止のため、外出後の手洗いやマスクを着用する「せきエチケット」を呼び掛けた。
全国に約5千ある定点医療機関から11月14~20日の1週間に報告されたインフルエンザ患者数が、1医療機関当たり1・38人になり、流行の判断となる1人を上回った。年明けに流行入りした昨シーズンに比べて1カ月半以上早い。
例年より2、3週間早く、現在の集計方法になった1999年以降では、新型インフルエンザが流行した2009年を除いて最も早い流行入りとなった。
発表によると、報告患者数は6843人で、全国の推計患者数は約7万人とみられる。都道府県別で1医療機関当たりの患者数が多いのは、沖縄(8・12人)、栃木(5・5人)、福井(3・5人)など。検出されているウイルスは「A香港型」が多い。流行のピークは来年1月下旬頃の見込み。
国立感染症研究所によると、14〜20日に全国の医療機関を受診した患者は約7万人と推計され、前週より約2万人増えた。都道府県別では、沖縄(8・12人)▽栃木(5・5人)▽福井(3・5人)▽北海道(2・92人)▽岩手(2・6人)▽石川(2・29人)▽群馬(2・09人)−の順で北日本で多くみられた。
直近5週間の検査では、A香港型の患者が大半だった。また、小学校などを中心に467施設が9月以降に学級閉鎖や休校などの措置を取っており、昨年同期の64施設を大きく上回っている。
厚労省は重症化の恐れが高い高齢者などを中心に早めに予防接種を打つことや、せきやくしゃみが出る人はマスクをして感染拡大を防ぐことなどを呼びかけている。
14~20日に医療機関を受診した患者は全国で推定7万人。
■全国的に2016年冬のインフルエンザの流行が早まっているが、東京都は11月24日、インフルの流行が始まったと発表した。
記録が残っている1999年以降では最も早く、11月の流行入りは2年ぶりだ。東京都ではこまめな手洗いとうがいや、早めのワクチン接種など予防策を徹底するよう呼びかけている。
東京都の発表によると、11月20日までの1週間に都内419の医療機関から報告されたインフルエンザ患者数は652人で、前の週より262人増えた。このため1つの医療機関当たりの患者数が1.57人となり、流行開始の目安となる1人を一気に超えたため、流行開始宣言となった。
東京都内では11月20日までに学校や福祉施設などで合わせて85件のインフルエンザの集団感染が発生、54の幼稚園や学校で学級閉鎖が行われている。
都内のインフルエンザ定点医療機関からの第46週(11月14日から11月20日)の患者報告数が、流行開始の目安となる定点当たり1.0人を超えました。
インフルエンザは例年12月から3月にかけて流行しています。
今後、本格的な流行が予想されるため、インフルエンザにかからない、感染を広げないための対策を一人ひとりが心がけてください。
●インフルエンザ対策のポイント
こまめな手洗い
休養・栄養・水分補給
咳エチケット
過度な室内加湿・換気
予防接種(かかりつけ医と相談)
問い合わせ先
(感染症に関する東京都の対応等、全般に関すること)
福祉保健局健康安全部感染症対策課
電話 03-5320-4482
(感染症患者の報告数(感染症発生動向に関すること))
東京都健康安全研究センター企画調整部健康危機管理情報課
電話 03-3363-3213
■ 厚生労働省の部会は24日、インフルエンザ治療薬タミフルを1歳未満の乳児に投与することを認めた。24日付で保険適用となった。これまで乳児には点滴薬しか認められておらず、経口薬は初めて。
子ども向けに甘くした「タミフルドライシロップ」が対象。欧米では投与が認められており、日本小児感染症学会などが乳児にも使用を認めるよう要望していた。
タミフルは2001年に成人用、02年に子ども用の販売が始まった。服用した子どもが転落するなど異常行動による事故が続発したため、厚労省が07年から10代への投与を原則中止としている。
★インフルエンザ(ラテン語: influenza)はインフルエンザウイルスによって引き起こされる急性感染症。略称としてインフル(英語: flu)がある。多くは上気道炎症状・呼吸器疾患を伴うことで流行性感冒(りゅうこうせいかんぼう)、詰めて流感(りゅうかん)と言われる。
季節性インフルエンザには、A型、B型、C型の3種類があり、全ての年齢層に対して感染し、世界中で繰り返し流行している。
日本などの温帯では、季節性インフルエンザは冬季に毎年のように流行する。通常、11月下旬から12月上旬頃に最初の発生、12月下旬に小ピーク。学校が冬休みの間は小康状態で、翌年の1-3月頃にその数が増加しピークを迎えて4-5月には流行は収まるパターンであるが、冬季だけに流行する感染症では無く夏期にも流行する事がある。A型は平均相対湿度50%以下になると流行しやすくなると報告されている。
全世界では毎年300-500万人がインフルエンザに感染し、25-50万人の死者を出している。
先進国における死者は65歳以上人口が最も多い。また病欠・生産性低下といった社会的コストも大きい。
感染経路は咳やくしゃみなどによる飛沫感染が主と言われている。
一般的には経口・経鼻で呼吸器系に感染する。飛沫核感染(空気感染)や接触感染など違った形式によるものもある。
予防においては、有症状患者のマスク着用が有用であり、飛沫感染防止に特に効果的であるが、形状や機能性などによっては完全に防げない場合もある。
マスクのみでは飛沫核感染や接触感染を防ぐことができないため、手洗い・うがいなどの対策も必要である。最も感染を予防できる方法はワクチンである。抗ウイルス薬も存在するが、ウイルスはすぐに耐性を獲得する。