今世紀末の気温、18世紀比で3・5度上昇
米マサチューセッツ工科大(MIT)などの研究チームは28日、今世紀末の気温は18世紀の産業革命前より3・5度上昇するとの研究結果を発表した。
世界各国が国連に提出した温室効果ガス削減目標を、目標通りに達成した場合の予測で、地球温暖化防止策が不十分なことが判明した。
猛暑や海面上昇などの深刻な被害を防ぐには、温度上昇を産業革命前より2度未満に抑える必要があるとされる。現在の地球の気温は既に、産業革命前より約1度上昇している。
研究チームは、今年末のパリでの国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けて約50か国・組織が定めた温室効果ガス削減目標をもとに、2100年の気温を予測した。
その結果、削減目標を達成しても、何も対策をしなかった場合の温度上昇4・5度を1度抑えるだけにとどまり、3・5度上昇することがわかったという。
■オバマ米大統領は8月31日、アンカレジで開かれた北極評議会の非公式閣僚級会議で演説し、「気候変動は遠い将来の問題ではない。今ここで起きている問題だ」と述べ、気候変動防止へ向けた各国の協調を呼びかけた。
会議には日本を含む20か国が参加し、「気候変動は北極圏のみならず世界にとって重大な挑戦」とする共同声明を採択した。
演説でオバマ氏は、地球温暖化の影響で北極海の氷の解け方が加速していると強調。「手遅れにならないよう、この惑星を守るための合意を今年中に達成しなければならない」とも述べ、年末の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)をにらみ、温室効果ガス削減の新たな国際的枠組みの合意実現に意欲を示した。
■日本政府は9月11日、異常気象や農業被害など、地球温暖化による悪影響を軽減する国家戦略「適応計画」を11月末までに策定することを決めた。
当初、この夏までにまとめる予定だったが、関係省庁の調整が追いつかず、予定を見直した。
政府はこの日、内閣官房と、環境省など11府省庁の局長級の連絡会議を新設し、策定を急ぐ方針を確認した。11月末にパリで始まる「国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)」に間に合わせる。
■温暖化対策に1836億円…環境省概算要求
環境省は8月31日、来年度予算の概算要求を発表した。
7月に国連に提出した政府の温室効果ガス削減目標(2030年度までに13年度比26%減)を達成するため、地球温暖化対策費として過去最大となる1836億円を計上した。前年度当初に比べて1・6倍となる。
目標達成に向け、政府は、再生可能エネルギーなど二酸化炭素を出さない電源の利用拡大を掲げている。一方、徹底した省エネで電力消費量そのものを抑える必要性も訴えている。
来年度は、再生エネ発電を行う複数の公共施設をつないで効率よく電気を融通させる補助事業を実施するほか、陸上の1・5倍の発電量が期待できる「浮体式洋上風力発電」導入に向けた海底調査などを行い、再生エネの普及を図る。商店街などに、街路灯の発光ダイオード(LED)化の補助事業も行う。
★温室効果ガス
温室効果ガス(おんしつこうかガス、英: greenhouse gas、GHG)とは、大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより、温室効果をもたらす気体の総称である。対流圏オゾン、二酸化炭素、メタンなどが該当する。近年、大気中の濃度を増しているものもあり、地球温暖化の主な原因とされている。
概要
京都議定書における排出量削減対象となっていて、環境省において年間排出量などが把握されている物質としては、二酸化炭素 (CO2)、メタン (CH4)、亜酸化窒素(N2O、=一酸化二窒素)、ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs)、パーフルオロカーボン類 (PFCs)、六フッ化硫黄 (SF6) の6種類がある。
最新のIPCC第4次評価報告書では、人為的に排出されている温室効果ガスの中では二酸化炭素の影響量が最も大きいと見積もられている(地球温暖化の原因を参照)。これに対する懐疑論も見られるが、多くは反論されている。
水蒸気も温室効果を有し、温室効果への寄与度も最も多い。蒸発と降雨を通じて、熱を宇宙空間へ向かって輸送する働きも同時に有する。人為的な水蒸気発生量だけでは、有為な気候変動は発生しないが、全体的には上記のような物質が気候変動の引き金となり、水蒸気はその温暖化効果を増幅するとされる(地球温暖化の原因#影響要因としくみを参照)。この水蒸気の働きの一部だけを捉えて温暖化に対する懐疑論を主張する者もいる。
世界の排出量
世界の主要国の排出量は、2010年時点で二酸化炭素に換算して約427億トンに達している。2010年時点での各国の排出量は、中国 (23%) が一番多く、それにアメリカ (16%)、インド (5.7%)、ロシア (5.4%)、日本 (2.9%)、ブラジル (2.6%)、ドイツ (2.1%)、インドネシア (1.9%)、カナダ (1.7%)、イラン (1.6%) と続く。
日本の排出量
日本における温室効果ガスの排出量は、2007年度に過去最高(二酸化炭素に換算して13億7400万トン)を記録した。その後、リーマン・ショックの影響で、2008年度、2009年度と二年連続で排出量は前年度の水準を下回った。
2011年の福島第一原子力発電所事故の発生後、電源構成が原子力から火力に変化したため、2011年度、2012年度と二年連続で排出量は前年度の水準を上回った。
日本が国際社会から「公平で科学的に妥当な」目標を掲げた国として認められることは困難?